いつも横で笑っていた悠太が。

陸と私の喧嘩を笑って聞いていた悠太が。


――いなくなる。


「明日からはふたりなんだ……」


悠太がいなくなる……その事実が益々現実味を帯びてくる。

悠太はいつでも私たちを助けてくれた。

いつでも笑って応援してくれた……。


ヤバイ。また泣きそうだ。


「でも……」

涙が溢れるより先に陸が言葉を発した。

少し間を取ってから、陸は私の顔を窺がうようにして続けた。
 


「悠太はひとりになるんだよ」



陸の言葉が私の心のど真ん中に突き刺さる。


「異国でひとりぼっちだ」


陸がぐちゃぐちゃに絡まった糸くずをゴミ箱に放り投げた。