『ダメだぁ、こんな未知の公式分かんないよ!!』


『悠太……この記号なに……?』


陸が大真面目な顔で教科書を指さす。


『お前ら授業中何してたんだよ!!』


悠太が叫ぶ。さながら動物園のようだ。


『あ! 解けたーっ』


『マジで!? ……ってお前それ間違ってるし!! ぷーっ』


陸がわざとらしく吹き出してみせる。


『嘘だー! 陸が間違ってるんじゃないの!?』


『俺が間違ってる訳ねぇだろ!!』


『あー!! もう喧嘩すんなよ!! ほら、まず志津! 見せてみろ!! うん、ここは……』


ノートに書き殴った志津の計算を、悠太が鉛筆で訂正する。


『すごっ! 悠太天才!!』


『志津がバカなだけじゃね?』


正解をはじき出した陸はペン回しをしながら、余裕の表情だ。


『黙れ、陸!』


『あー、もうお前らふたりともバカ!!』


悠太が可笑しそうに笑う。

つられてふたりも笑う。