弘人から聞いた話によると、入部早々悠太がその夢を口にした時、2、3年は
「無理無理、だって俺らいつも地区大会一回戦敗退だもん」
と笑い飛ばしたという。


そりゃそうだ。
こんなやる気のない先輩達とじゃ国立なんて無理に決まってるよなぁと弘人が諦めかけた時、

「安心して下さい、俺らが連れてってあげますって!」

と陸が笑い返したらしい。

陸は嫌味とかじゃなく、多分本当に純粋な気持ちで言ったんだろうなぁと弘人が笑って教えてくれた。

「今日は暑いから部活休み!」とか「今日はサッカーゲームでイメトレしようぜ!」と言うどうしようもない先輩達を尻目に、悠太は何も言わず毎日練習を続けた。


一方で陸と弘人も「先輩いないから練習し放題」「1年生の内からボール触れるなんてラッキー!」と、悠太にくっついて練習していた。