ずば抜けて上手かった悠太は勿論だけど、私達の学年は、陸や弘人、近隣の中学から進学してきた子たちも含めて、他の学年よりサッカーの上手い子が多かったように思う。

全部で15人いる1年生全員がサッカー少年団に所属していた経験者だったせいかもしれない。

悠太達が入学する前までのサッカー部は絵に書いたような超弱小チームだったらしい。

「うちのサッカー部は、1回戦敗退は当たり前。あいつらやる気もねぇし、下手だし。毎日プレステやってるって噂だよ」と帰宅部だった兄、壱斗(いちと)に鼻で笑われるほどに。


ところが、超弱小サッカー部は悠太たちの入部を機に、突然ストイックな部へと変貌した。

悠太と陸には「絶対に国立に行きたい」という目標があったから。サッカー少年なら誰も憧れる夢の舞台。


けれど、万年一回戦敗退の超弱小部が掲げるには大きすぎる目標だった。