「うわぁ……綺麗……」


真っ青な海が眼下に広がっている。

山の中腹、海の見える場所。

そんな素敵な場所にこの町の墓地はある。

その中でも一番海が良く見える場所に、彼のお墓があった。

長谷川家と書かれた墓の前で足を止める。


誰かが置いたのだろう使い古されたサッカーボールが1つ、お墓の横に置いてあった。


「悠太……久しぶり」



高校生の頃、私はただ都会に行きたいという理由だけで東京の大学を志望していたけれど、“あの夏”以降私の夢は『新聞記者になりたい』に変わった。


あの事故のあと、私は真剣に命について考えるようになった。

命の大事さを多くの人に伝えたいって思ったんだ。