「え……」


悠太の顔にはっきりと、驚きと迷いの表情が出る。

この数日間、ずっと考えていた。

悠太のいないこの世界で生きていても意味がないって。


「私、死んじゃってもいいから。悠太と一緒に居たい」


「……」


悠太の手が私の頬のすぐ横まで伸びてきた――


その時、暖かい陸の手が、ぎゅっと力強く私の手首を握り締めた。


時間が止まる。



「……陸?」


「志津は……ここに居なきゃだめだ」


手首を握ったまま、陸が絞り出すように言った。



「悠太……悪いけど、これだけは譲れない。志津は連れて行かせない……絶対に」


目を丸くして陸を見つめる。

頬のそばまで来ていた手を下ろすと、悠太が笑った。




「ばーか、連れて行くかよ!」