居なかったなんて思える訳がないじゃない。

この17年間。

ずっと一緒に居て。

悠太の笑顔を目で追いかけて。

今さら居なかったなんて思えるはずがない。


「写真がなくなったって、手紙がなくなったって、悠太といたことは絶対忘れられないよ!」


だって……。

「好きなんだよ……」


「言ったろ、俺のことは忘れてって」


「それでも大好きなんだもん!」


「迷惑だって……言っただろ」


悠太が下唇をかみ締めながら、震える声で冷たく言い放った。

心が折れそうになる。

でも決めたんだ。

次悠太に会ったら自分の気持ちを素直に伝えるって。

もう後悔はしたくないから。


「分かってるよ。分かってるけど……」


それが悠太の本心なの?

私、うぬぼれてるのかも知れない……でも……。


「私は、あのキスが嘘だったなんて思ってない……!」


悠太が私から目を逸らした。

だって、あの瞬間だけは幸せだったから。


心が温かかった。

悠太は優しいから……。

これも優しい嘘なんでしょう?



ずっと一緒にいたんだよ。
全部、全部……分かってるよ……。