「伝え……残したこと……?」


思わず陸と顔を見合わせる。


それを見ていた悠太はふっと笑うと向き直って真っ直ぐに私を見た。

胸が苦しくなる……。


「志津……写真見ていちいち泣くなよ?」


笑った悠太の声が震えている。


「写真?」


「俺からの手紙見て泣いてばかりいるなよ?俺との思い出振り返って泣いてんなよ」


「あ……」


どうして知ってるの……?

私が毎日泣いてたことを、なんで。


「辛い思い出なら……俺の事思い出すたびに涙が出るなら……」


悠太の言葉が詰まる。



「全部捨てて」


苦しそうに悠太が声を絞り出した。


「え?」


「俺との思い出が、志津から笑顔を奪うなら、そんなもん何の価値もない」


私を見つめた悠太の目には、涙が溜まっていた。


「志津の事、毎日泣かせてるくらいなら、俺なんか最初っから居なかったって思ってもらった方がずっとマシだ」


「思える訳ないじゃん!」


思わず声が裏返る。