後ろで小枝がバキバキと豪快に折れる音と共に、陸が息を荒げてやってきた。

手に持ったサンダルを私に差し出す。


「はぁ……はぁ……おい!!! 志……」


「よぉ」


悠太が右手をポケットから出して、可笑しそうに陸に向かって手を挙げた。


「……あ……嘘だろ」


口をぱくぱくさせて信じられないと言う風に陸が呟いた。


「本当に……悠太?」


「また見つけてくれたんだな」


そう言って微笑むと、悠太は再びポケットに手を突っ込んで月に視線を移した。


「お前っ」


陸は私の横を走り抜けると、勢いよく悠太の胸ぐらを掴んで叫んだ。


「何してんだよ!!」


「……悪かったな、黙ってて」


1ミリも表情を変えずに、悠太が陸の腕にそっと触れた。