頂上に近付くに連れて、月の明かりが強くなる。


もう少しで頂上……。

最後の力を足に込めて走った。

周りの木々も暗闇も後ろへ飛んでゆく。



もう少し……。


葉と葉が風に吹かれてざわめく音を立てた。

急だった斜面が平らになり、さっきまでとは違った、足に冷たい柔らかい感覚が走る。

湿った草……。


「はぁ……はぁ……」


息を切らしながら、真正面を見つめた。

夢にまで見た光景が、目に飛び込んでくる……。