どこだ!?

石段の一番上から、下を見下ろす。


黒いサッカーバッグを肩からさげた男子生徒がひとりで歩いているところだった。


――陸だ!!


ありったけの空気を肺に吸い込む。

そして一気に吐き出す!


「りぃ―くぅぅ―!!!!」


大声が空に響き渡る。


遠くで陸が振り返ってこちらを見上げた。

その様子を確認すると、私は一気に石段を駆け下りた。

石段で猛ダッシュするなんて自殺行為だ。

そんな事は小学生にだって分かる


陸が必死で何かを叫んでいたが、聞こえない。

駆け下りるスピ―ドが上がると、耳の横で風がうなるような音をあげた。