ペンを置くと、辺りが静かになっている事に気が付いた。

窓の外を見ると、いつの間にかサッカー部が解散している。

どうりで静かなはずだ。


「帰らないと……」


窓をしめて鍵を掛けると、途端に顔が緩んだ。

悠太が帰ってくる……。
帰ってくる。久しぶりに会えるんだ。


あまりに顔がにやけるので、下唇を思いっきり噛んだ。

陸に教えたらどんな顔するかな。

何て言うかな。

口を大きく開けて「まじでっ!?」と驚く陸を想像して、またにやけた。


書いた手紙をカバンの中に突っ込んで、教室を飛び出した。

自分の足音が、誰もいない廊下に響く。

1分でも1秒でも早く陸の驚く顔が見たくて、猛スピードで階段を駆け下りた。


早く陸に伝えたい!