手紙を読み終えると、手が小刻みに震えていた。

はやる気持ちを抑えながら、
カバンから筆箱と便箋を引っ張り出して、机に並べた。


金魚の柄の夏らしい、そして日本らしくもある可愛い便箋は、陸の店で一昨日買ったもの。

もう一度手紙を読み返す。

見間違いじゃない事を、何度も何度も読んで確認する。



そして……。


ボールペンを取り出すと、出来るだけ丁寧に、“悠太へ”と書いた。