階段を急いで下る。

心臓の鼓動がバカでかくなって、口から飛び出そうだ。


陸、陸、陸……。


コンクリートの壁からひんやりとした冷気が放たれていた。

かかとを踏み潰したローファーがバタバタと乾いた廊下に響き渡る。

一番奥に『医務室』と書かれた部屋があった。


「ここだ」


呼吸が乱れ、首筋に汗が流れる。

冷たいドアノブを勢いよく押す。

中から湿布のツンとした独特の匂いがする。

ドアを開けるとすぐに陸が目に飛び込んできた。


「大丈夫!?」


「おぉ、志津……」


医務室の簡易ベッドの上に座った陸が振り向く。