「陸……大丈夫かな?」


「だ、大丈夫でしょ!」


不安げに聞いてきた梢子を励ますように明るく答える。

大丈夫、大丈夫……。

だってあと1点なんだよ。

あんなに毎日練習してたんだもん。

そんな簡単に怪我なんて……。


「陸、起き上がんねぇな、大丈夫か?あれ」


「やばいんじゃないの?」


クラスメイト達が不安げに陸を見つめる。

陸の周りに、チームの仲間だけでなく監督や審判まで集まってきた。

顔の血の気が引いていく……。

しかめっ面した陸は控えの選手に肩を借りて、右足を引きずりながらピッチを出て行った。



「え、何。陸怪我したの?こ、骨折とかじゃないよね!?」


明るい声を繕って梢子に話しかけたけれど、声が上ずってしまった。

無言のまま深刻そうな顔で梢子が首をひねる。


「……確か医務室は1階だな、志津様子見て来い」


森先生に促されて「うん」と頷くと、メガホンを梢子に預けて医務室へ向かった。