「うそぉ……」


梢子が泣きそうな顔でゴールキーパーを見つめている。陸が横腹を押さえながら厳しい表情をしていた。


「……陸」


準決勝での1点がどんなに大事か。

先制点がどれだけ大事か。

サッカーを良く知らない私でもなんとなく分かっていた。

祈るように握った手に力を込めた。

ロンドンまで続いているであろう青空を仰ぐ。

悠太、お願い……陸に力を貸してあげて……。