山を半分くらい登った所で、先頭を歩く陸が弱音を吐いた。


「意外と山道つれぇな」


「そんなことより真っ暗で恐いんだけど」


薄暗かった森もどこへやら、今は完全に闇の中だった。

前を歩く悠太の白いワイシャツがかろうじて見えるくらい。

一番後ろを歩く私は、背中が怖くて仕方なかった。

何かが居そうな気がした。

背中がスースーする……。


「まぁまぁ、そう言わんで、とりあえず上まで行ってみよう」


悠太がなだめるように言った。


「……うん」


そんな風に言われたら歩くしかない。
仕方なく返事をした。