ちょっとほっとした。

よかった、いつもの悠太じゃん。

さっきのは、私の勘違いだったのかもしれない。

悠太は少しも変わったりしてない。


「何だそれ。志津はともかく俺はそんなことねぇぞ!」


「ふっ、受験勉強もまともに出来ないバカに言われたくないわ」


「お前だって大してやってねぇだろ!」


「陸よりは、やってますー!!」


売り言葉に買い言葉でまた喧嘩だ。

虫の鳴き声しかしない夜の裏山にふたりのわめき声が響き渡る。