ラミアからの返答は無かった。

 その代わりに、DMの奇声が通路に響いた。

 その後に駆けつけたのは、ペシェだった。

「リンメイとクルルをどこに隠した」

 ラミアに向けて、警戒心を保ちながら言葉が放たれる。

「知らない」

「嘘を吐くな。
 DMが少年を連れて行った。
 俺の目の前で起きたことだ、間違いない」

「本当に、知らないよ。
 だって、もう弟たちは私の言うこときかないもの」

 ラミアは、壊れた機械のような掠れた声で、何度か言った説明をした。

「呼んだのはわたしだけど、兄さんを捕まえてとは言っていない」

「なんだって言うんだ、こんな混沌とした事態は初めてだ」

 ペシェもお手上げ状態なのか、額に手を当て、半現実逃避気味に自嘲の笑みを口元に浮かべた。

「まあ、深く考えるな。
 まずは奴らを止めるか破壊するかだ」
 そんなペシェに、彼の疲れた声が飛んでくる。

 ペシェは抗議のひとつもしたかったが、溢れたDMの動きは止まらない。

「退けっ」

 彼の怒号の後に、ペシェは炎の鷹を放ちDMを焼いたが、火傷は数秒で回復してしまう。

「厄介な」

 毒づくペシェを無視した彼が、通路を進み出す。