その後、隊長の姿は山口県祝島にあった。
ここではパシり2号が頑張っている。
むしろそれより社員が頑張っているようだ。
見たところ、2号を抜いても不安はなさそうだ。
パシり1号に、高知に向かうように指示すると、蜂の塊の中へ飛び込んでゆく。
「2号!どうだ?」
「隊長っ!僕等は大丈夫ですっ!」
「うん!見て安心した!そこで君に頼みがあるんだ!」
「えっ!?まだ終わってないですよっ?」
「終わるのを待てないんだよ!俺と阿蘇に付き合ってくれ!」
パシり2号に事の次第を説明すると、隊長は愛媛で集合すると言って、蜂の塊を飛び出して行った。
もちろん、スパオオのリーダーを落としてから。
抜け目のない男である。
しかし、リーダーを失い統率力のないスパオオは、案外もろいものなのである。
指示、命令がなくなったスパオオは、自分勝手に動きまわる。
先に進もうとする者、逃げようとする者、家路につこうとする者、休憩する者。
少し厄介だが、まとまりがないので攻撃しやすくなるのだ。
パシり2号は、自分の判断で社員だけで大丈夫と思われるところまでスパオオを落としてから、社員に事情を説明して愛媛へ、隊長を追った。
普段なら、一人で行動する隊長が、自分に声を掛けてくれた。
期待に応えなくては……