1人の男がドンと大きく響く声を出した。

男は続ける。


「俺たちはな」


「行くぞ小女」

「うんっ」


男が言い終わる前に俺は小女の手を引いて大人達に向かって走りだした。


「ちょっ、オイ?!」


慌てて銃を構えようとするのは、さっきまで声を上げていた男。


遅い!!


「うらっ!」


俺はソイツの少し手前で踏み込み、顔面にキックをお見舞いした。

「ぐっ」

そんな男からそんな声が漏れる。

「おい、走れ!」


これで出口は開いた。そのまま禅を背負った少年に叫び、一足先に大人とその扉を突破する。


「はぁ……」

少年は小さくため息を吐いて、俺の後に続いて友達を背に扉に向かってダッシュしてくる。


「逃がすか!!!」


俺が潰した男の脇にいた大人達が銃を構えて、一斉に少年に向け発砲する。

パァン、パァンと乾いた銃声が響き渡るが、それは少年に当たらない。


「ふふ」

「コノヤロ……ちょこまか動きやがって!」


三人がかりで打ち続けるが、弾は一発も当たらなかった。


「"下手な鉄砲数打ちゃ当たる"そんな言葉がありますが――どうやら嘘みたいですね」

「クソ、この……!?」

「その拳銃、見た限りでは弾は6発……三人合わせてきっちり18発。もうあなた方は撃てません。では」