「何人いる?」

「4人だ」

「ひとりずつかかろう」


大人たちは銃を一旦降ろし、ニタニタと笑いながらそんな会話をしている。


「……どうしますか」


少年が、大人たちを見つめていた俺の肩を指で叩き、「逃げますか、倒しますか」と、小声で続けた。

倒す選択肢もあるのか……。


「逃げよう」


と、俺より先に言ったのは小女だった。大皿に盛ったカレーをいつのまにかペロリとたいらげ、口をナプキンで拭っている。

俺はその言葉に頷き、二口ほど残ったカレー皿の上にスプーンを置いて、少年に目とあごで指しながら言った。


「とりあえずお前、アイツ……禅だっけ?連れてこいよ」

「え?」

「逃げるんだろ」

「は、はい」


少年は少し戸惑ったような様子で、大人達からちょうど死角になっていた禅という友達の方へそろそろと向かった。


「助けるの?」


と、小女が服の裾を引っ張る。


「まぁな」


と、俺は小女の頭に手を乗せる。



「おい、てめぇらガキ!よく聞け」