「あー……」


やっちゃった。やっちゃった。
またやっちゃったよ。

あれは、ダメだよ。
ダメだダメだダメだ。

何度やれば気が済むんだ、俺は。



「あーおいっ」


テーブルに突っ伏し、激しい自己嫌悪に陥っていると、小女が何かを抱えて戻ってきた。


「これ、なーんだ?」


「……鍋?」


「正解!そして中身はなんと!」


「カレーだろ」


「またまた正解!すごい!どうして!まさか読心術ってやつ?」


「まてまてまて。どうしてお前はそんなにテンションが高いんだ」


咄嗟にこんな言葉が出たが、小女が俺を元気づけようと空元気をしているのは瞭然であった。
ちなみに、カレーも匂いでバレバレ。


「私はカレーがあればいつもの3倍は元気になるんだよ。知らなかった?」


そう言ってカレーを盛り始める小女。そして、その小女の背景には2人の男がいた。


1人は先ほどの三連ピアスで、床に横たわり、のびていた。ショックやなんやらで気を失ってしまったらしい。

そしてその傍らに、もう1人。金髪ギラギラ頭の三連ピアスとは裏腹に、長めの黒髪を後ろで束ねた、大人しい、綺麗な顔立ちの少年だ。


彼は黙って三連ピアスの側にいた。


「……あいつは?」


俺はカレーを口に運びながら小女に訊ねた。


「お友達みたいだね、彼の」


「ふぅん」


他の奴らがみんな逃げ出した中で、友の為にひとり残った彼に感心していると、ふと彼と目が合った。

深い、漆黒の瞳だ。