廊下の窓から射す、太陽の光をいくつも踏み潰し、俺たちは進んでいた。

と、足が止まる。


「わーお」


視線の先に、光に照らされた2つの人影があった。いずれも床に寝そべるような体制だった。


それから歩いて50メートル。
そこまで足を運び、[それ]を見下ろす。


言うまでもなく


「死んでまーす……」


折り重なるように床にごろっと横になっていた男子二名。

制服こそは着ていなかったが、なんだか見覚えのある顔。それに腕に付けているブレスレットですぐにうちの学園の生徒だど分かった。我が学園の生徒は校章の入った何かを如何なる時も身につけなければならないという校則がある。

小等部の生徒はネックレスを。
中等部の生徒は指輪を。
そして高等部の生徒はブレスレットを、身につける。


「ブレスレットしてるってことは……高等部のヤツだな」


こんな時まで校則を守るとは、大変真面目な生徒のようだ。
いや、もしかしたら習慣づいていて校則を破るというのが考え付かなかったのかもしれない。

わざわざ昨日のうちにブレスレットを花壇に放り投げた自分のほうが逆に不真面目に対して真面目なようだな、と思った。



「すると、さっきの銃声はこいつらが殺されたモンだったのか?」


「いや、違うよ。銃声は外から聞こえたし……」


それに、見て。と小女は倒れる2人の首筋を指差した。
そこには、何か刃物で斬られたような傷があり、そこから鮮血がドクドクと湧き出ていた。



「やっぱり、本当に始まったんだなあ。massacreってヤツ」


「うん」


「ま、誰が死のうが関係ないけどな」


「そうだね」


2つの死体を冷たくあしらって、俺たちはその場を後にした。



一度だけ、振り向く。
窓からの明るい光に照らされた2人はまるでスポットライトで照らされているようだった。


「最高の幕開けだ」


名前も知らないお二方。
今までお疲れ様でした。

あなた達が生まれ変わらないことを懸命に祈っております。


さようなら。