「あれ、もう帰んの、委員長」
俺たちがあーだこーだ言っている間に委員長は荷物をまとめて、鞄を持っていた。
「うん。このまま教室にいても仕方ないし、明日の準備も念のためにしておかなきゃ」
「準備?」
「まぁ……色々あるのよ、いろいろ」
委員長は困った風で笑顔を作る。俺がそんな笑顔に秘められた意図を読み解けずに困っていると、
小女が委員長の鞄に抱きついた。
「奏ちゃん帰るのー?なら、私も一緒にいこっかなぁー」
「あら、小女ちゃん。柏木くんと一緒じゃなくていいの?」
「恋人関係でもあるまいし、私たちだって常にベタベタしてる訳じゃないよ。ね、葵?」
「まぁな」
確かに恋人関係じゃあないけど――そう言い掛けたのを、俺は喉の奥にしまい込む。
、、、、、
「それじゃあ、また明日ね。葵」
「それじゃあね、柏木くん」
「おー。じゃあな」
葵は敢えて また明日 とは言わずに2人を見送った。