「ねぇ・・・・・」
「なに?」
祐樹と華子は家に向かって寒くまっくろな道を
恋人のように手をつなぎ歩いていた。
華子がはぐれてしまわないように、
祐樹は彼女の手をしっかりと握りしめている。
「全部・・・・・・・
あの子に私の全て、
みせるときなんだよね・・・」
祐樹はうんともすんとも言わない。
「私がそう仕掛けようなものだよね
そらとあの人との接点があったにせよ
なかったにせよ
あんな箱を後生大事にしているんだもの」
華子の手を握る祐樹の手が力強くなった。
「!!!いたっ!」
華子はあまりの痛さに顔をしかめ、祐樹を見た。
鬼の形相とはこのこと。