「弥(いや)、アルツハイマーだけじゃなくって
他にもみないといけない既往があってね
それで内科に入院になったらしいの」
華子の視線はどんどんおちていった。
「でもそらは知らないんだろ?」
祐樹が華子の顔を両手ではさんで正面を向かせた。
華子は祐樹の手と自分の手を重ね首をゆっくり振った。
「こういう時に
そっくりっていうのは
悲しいものね・・・・・・・」
「淳一郎君とそら、
今日一緒に回診したみたい。
さすがに私、
淳一郎君にあの人の名前までは
言ってなかったから・・・・・・
あの人、そらを私だと思ったみたいで
泣き始めて
そらに向かって私の名前を言ったんだって」
華子は眉間にしわをよせ ほほ笑んだ。
「そうか・・・・・・・」
祐樹も同じ表情をした。