すると、淳一郎は今までにない笑顔で




「脱帽!」




そう言い、検査帽を脱ぎ 本当に“だつぼう”したのだ。





そして誰もいないことを確認して




「やっぱり、君でなくてはいやだ」






と、耳もとで囁いたのだ。




後から聞いたのだが、

私に文句を沢山言っていたのは、

話がしたかったから。




検査の介助が私だったのは、

婦長に、“あいつはもっと教育しなくては!”と言って、遠まわしにご指名していたそうだ。


なんやかんやあって、お互いに惹かれていたのだ。