「もう一人の患者は……

 どんな反応だった?」


祐樹は、華子の手をきゅっと軽く握りしめた。


「んー……

 なんだか……昔の自分を見てるみたいだったよ。

 でも、きっとあの子の方が辛い。


 ほら、泥水って時間を置くと上の水が凄く奇麗じゃない?

 そこに何処からともなく現れた鳥がバシャバシャって

 行水して

 今まで知らなかった、奥底にあったものが

 一気に目の前に露わになって……」


華子は身ぶり手ぶり、祐樹にわかりやすいように説明した。


「きっと……

 あれを見て、感じて

 その舞い上がった色んなものが

 あの子の中で順々に落ちついていく……」


華子は眉間に皺を寄せ、無理な笑顔を祐樹へ向けた。