華子はようやっと、自分が膝をついていた事に気づいた。

「わぁ……ありがとう……ね」


祐樹は、華子を無理に立ち上がらせることなく、

背中をさすった。



「“ね”じゃないし。

 何で俺に一言言ってから出かけないかな……。

 こういうの嫌いだって知ってるでしょ?」


「……知ってるー

 ごめっ」


俯きながらトホホといった感じで許しを乞う華子。


「また華子病再発??

 やめてくれよな

 本当手がやける……」


「大丈夫、これっきりだよ。

 もう大丈夫。

 もう一人の患者も多分これっきり……」


華子は祐樹につかまり、ゆっくり立ち上がり

大丈夫だから、と、廊下を歩き始めた。