目の前が真っ暗になっていた。
それに気づいた淳一郎がさらにそらを見つめた。
「そら?君が隠し事を忌み嫌っているのは
知っています。
けど、隠し事という言葉に当てはまるもの
全てを軽蔑するのは僕は違うと思う。
僕はこの、お義母さんの隠し事には
深い意味があると思う。
僕は君に分かって欲しかった。
“結婚なんて”そう言ってしまった
お義母さんの気持ちを」
そらの表情は次第に虚ろになっていった。
「そら?
大丈夫です。僕が一緒ですから。
今日あたりお義母さんに聞くつもり
だったんですよね?
違いますか?」
そらは首を縦に振った。
「もし、解決に時間がかかるのならば
式を先延ばしにしたって構わない。
いやでしょう?自分の母親に心を込めて
ありがとうを言えない式なんて
僕は君のお義母さんに感謝しているんだから。
医者の僕との結婚を許してくれたこと。
そしてこんな素晴らしい
僕のそらを産んでくれたこと」
・・・・“ぼくのそら”・・・・
そらの心に響き渡った。
しかし、隠されていた事への不信感は
かすかに残ってしまった。
「淳一郎・・・
ありがとう・・・」