身体が痒いわけではないのに引っ掻きまわしたくなる。
自分の身体を
二重も三重も薄汚い何かが覆っていて
身体の中まで腐敗されている様な気分に
襲われるのだ。
ウジ虫を身体の中で飼っているようだ。
献血を何回すればこのどろどろとしたものがなくなるだろうか。
どうすれば白石祐樹を私から見いだせるのだろうか。
DNAだけでしか判断できないものなのか?!
そんなの馬鹿げている!
母を疑う自分がみじめだ。
父の面影のない自分の容姿が無様だ。
いままでの自分たち家族の中に嘘偽りがあったのか!?
母の倫理とは何だ!?
「そら!」
爪を立てたそらの手を
淳一郎が力ずくで抑え込んだ。