「もしもし?白石?」




「はい、こんばんは!あ、婦長ですか?」




「そうそう!ごめんね夜遅く。

 私今日夜勤で回ってたんだけど、

 どうしてもあなたが来てくれないと

 眠れないっていう患者がいてね、

 

 申し訳ないけど、今日の夜勤で入って

 もらってもいいかしら?

 
 患者がおとなしくなったら直ぐに仮眠っていうことで……
   
 代休いれるから!

 ダメかしら?」




婦長はとても切羽詰まっているようで、


かなり早口で言った。







後ろから不穏(ふおん)な声が聞こえている。







「あ、わかりました。

 これからすぐ向かえますが、
 
 自転車で行くので30分はかかります

 大丈夫ですか?」




「ええ!大丈夫!ありがとう!


 ほら!来てくれるって!痛っ!!!」


「婦長!?」



プツッ 


電話が切れてしまった。




そんな不穏な人いたかと首を傾げたが、

前にもそらを求めてわざと暴れたケースがあったので


そういう患者を鎮めに行くことは想定の範囲内のことだった。




ただ、夜の呼び出しは初めてだった。