そらは何度も同じ事を考えていた。
『そっとしておいて欲しいもの』
父の言葉を思い出した。
それは誰にだってあることはわかる。
そして、淳一郎、牧田夫人の言葉がまた
そらの頭の中で旋回し始めたのだ。
考えれば考えるほど母と牧田、
そして、“そっとしておいて欲しいもの”が結びついてしまう。
・・・もしかしたらあの中身は、片思いの牧田からのプレゼントが入っているのかもしれない!
・・・違う。
牧田の片思いならば、
ああやって厳重にガムテープで馬鹿みたく
ぐるぐる巻きにして、あんなへんてこな場所に保管するはずがない。
牧田との“大事なもの”なのだ。
もう駄目だ。完璧に結びついてしまう。