タバコを長い指で挟んで器用に運転する蓮司さんは、どことなく哀愁を帯びていた。


だけど…その理由も続きの話も聞いちゃいけない気がして…私は静かに蓮司さんが話すのを待った。


「疑問に思いながらも子供だったテッペーに何かができたわけじゃない。

だけど、テッペーが高校の時に事件が起きたんだ。

当時付き合ってたテッペーの彼女が……死んだんだ」


「………!」


「………一家心中だったらしい。

まぁよくある話だよ、父親がこさえた借金の末にね。だけど、テッペーにとっては“よくある話”じゃすまされなかったんだ」


「……え…まさか…」