ステージに現れた私に向かって叫ばれる称讃の声。
色めきたち、目をぎらつかせ興奮を顕にした顔。
飛び交う野太い声や口笛。
酒を片手に席を立ち、身を乗り出した酔っ払い達が卑猥な言葉を口にする。
幕は上がったけど、そんな観客達を眺めてると
“ねぇ、店長…。
これの一体何に、どこに感謝するの?”
心に浮かんだ疑問を消化できず、その場に佇んでしまった。
でもそんなのはほんの一瞬。
いつものように心を無にして、頭の中をカラッポにして耳も目もシャットダウン。
これは私であって私じゃない。これは自分に起こった他人事―――…。