おかしいよな?
あんなに有名なヤツが、いきなり姿消すなんて考えらんねーし。
姿消すとなると、なんか理由があるハズだしな。
……っくそー。分かんねー。
「おい。なんとしてでもあの女見つけ出すぞ」
「はあ?なんだよいきなり」
「なんとしてでも、ぜってー見つけ出してやる」
で、リベンジすんだ。
「なんの手掛かりもねーのにどうやって探すんだよ」
「それを俺たちで見つけんだろー」
「はあ?マジで言ってる?」
「大マジだ」
「なんでそこまでして見つけ出すんだよ」
「決まってんだろ?リベンジするためだ」
「……あれ本気だったのか?」
「当たり前だろ。あのまま引き下げるわけねーだろ」
負けたままなんて、俺のプライドが許せねー。
「はあ……どうやって見つけるんだよ」
「……それは今から考えるよ」
「なんだよ。意味ねーじゃねーか」
「うっせー。どうにかなるよ」
「……はあ」
大地はため息を付くと、そのまま倉庫を出て行った。
ぜってー見つけ出してやる。あの茅って女。
「おっ、安藤じゃん」
倉庫に行く途中、安藤を見つけた。
「安藤!!」
俺は安藤の所に駆け寄った。
「え?あっ、佐々木君」
安藤は俺に笑顔を向けた。
ドキッ!!
安藤の笑顔を見た瞬間、胸がドキッとなった。
あーくっそー……悔しいけど、やっぱり可愛い。
俺、高校生になって初めて好きな女が出来た。
名前は安藤茅乃。
同じクラスで、笑顔がちょー可愛い。
しかも、茶髪でロングの髪の毛がまた似合う。
「……佐々木君、今日も学校来ないつもり?」
安藤が上目遣いで俺を見つめてくる。
「……え?」
ヤベー。安藤の上目遣い、すげー可愛い。
「え?じゃないよ。いつまで学校来ないつもり?」
「……お前には関係ねーだろ」
……分かってる。
分かってるんだ。
……安藤が、俺のことを見てないことくらい。
分かってるんだ―――
でも……安藤を前にすると、なかなか素直になれなくて、いつも冷たい態度を取ってしまうんだ。
「……このままじゃ、ほんとに学校やめさせられちゃうよ?」
安藤は泣きそうな顔で俺を見つめる。
「……うっせーな」
っくそー……なんで素直になれねーんだよ。
本当は……心配してくれてるのが嬉しいのに。
素直に"ありがとう"って言えないんだ。
ほんと、情けねーよな。
「あたしは……佐々木君が心配なだけだよ」
「……余計なお世話だ。お前に心配される筋合いはねーよ」
「……そっか、そうだよね。ごめん」
安藤はそう言うと、その場から立ち去って行った。
「……っくそ」
なにやってんだよ、俺。
安藤のこと、泣かせちまった。
サイテーだよな……。
「……っくそ」
素直になれない自分に、ムカついた。
ガンッ!!
イライラから、倉庫の前にあったゴミ箱を蹴っ飛ばした。
そのせいで、中身があちらこちらに散らばった。
マジで……なにやってんだろ、俺。
「淳平!!なんだよ、今の音!!」
ゴミ箱を蹴った音に気付いたのか、大地が駆け寄ってきた。