「じゃあケイトとトーマス、やってみようか」



路線変更キター。



「えー!」と確かに聞こえた小さな声々は、主に後ろめたい人たちのものだ。


部外者の僕は、グラウンドの体育の風景に目をやる。



「じゃ、二人一組になって」


「えぇ―――――!!」



今度は、この出来事を対岸から見ていた生徒の声が上がる。


もちろん、僕もそのうちの一人だ。



面倒くさい事になったという雰囲気が、クラス中を覆う。


僕以外の、クラス中が。



"面倒くさい"とか、それはペアになる相手がいる人の言葉だ。



僕にはちさと以外の親しいクラスメイトが、いない。



しかも、一名ほど欠員しているこのクラスは現在奇数人で構成されている。



つまり余った僕が、どこかの仲良し二人組に、

へこへこと頭を下げて入れてもらう様子がありありと想像できる。



非常に気まずい。