教室全体が、静寂とまどろみに包まれている。



―――3時間目。



日本語ですら理解しがたくなるこの時間帯に、先生は英語の教科書を淡々と読み上げる。


この先生は男性の中でも声が一際低く、それが更なる眠気を誘う。


そして、むやみやたらに生徒を指名したりしない。



それは僕らに、どうぞ寝て下さいと言わんばかりのオプションだが、

窓際の一番後ろのこの席からざっと見渡すと、本当に爆睡している生徒はいない。


いるとしても1、2名か。


後は眠気と闘っている生徒が数名。


至って平均的な数字である。



それはそのはず、この先生は、睡眠学習に勤しむ生徒が一定数に達すると、

授業を唐突に路線変更するからだ。



こないだは、寝ていた男子2名と女子1名が前に立たされ、

それぞれボブとトム、そしてリサ役を演じさせられていた。



そして気の毒なことにリサは熱心な先生によって、

「ザッツ グレイト!」の部分でオーバーリアクションをするよう、リテイクを何度も食らっていた。