学校の図書室は、昼休みや放課後になると途端に人口密度が高くなる。
けれど、図書室は静かにという暗黙のルールを皆がそこそこに守っているので、
聞こえるのはちょっとした話し声やページをめくる音だけで、
それがこの空間に程よいざわめきを与えていた。
そんな中、僕は自分の世界に入り込むように、分厚いファイルに目を通す。
窓際にある、腰の高さほどの本棚をテーブル代わりにしながら。
この本棚には、辞書や図鑑といった、ハードカバーのいかにも重たそうな本が並んでいる。
梅雨と言っても、太陽の日差しは真夏のもので、差し込む光がじわじわと素肌を刺激する。
そこでふと、あるページで手を止める。
気になる資料があったわけだが、それと同時に背後に殺気を感じたからだ。
表紙が歪むほどに分厚い資料に、指を挟んで素早く閉じる。
「ちえっ、バレたかぁー」
そこにいたのは、セミロングくらいの黒い髪を、高い位置できっちり一つにまとめている、顔立ちの整った女の子。
クラスメイトの進藤さんだった。
進藤さんは、「つまんないのー」と言って口をすぼめ、低くしていた姿勢を正す。
僕がそのまま気づかなかったら、体当たりでもしてくるつもりだったのだろうか。
ちょっと、惜しいことをしたかもしれない。
けれど、図書室は静かにという暗黙のルールを皆がそこそこに守っているので、
聞こえるのはちょっとした話し声やページをめくる音だけで、
それがこの空間に程よいざわめきを与えていた。
そんな中、僕は自分の世界に入り込むように、分厚いファイルに目を通す。
窓際にある、腰の高さほどの本棚をテーブル代わりにしながら。
この本棚には、辞書や図鑑といった、ハードカバーのいかにも重たそうな本が並んでいる。
梅雨と言っても、太陽の日差しは真夏のもので、差し込む光がじわじわと素肌を刺激する。
そこでふと、あるページで手を止める。
気になる資料があったわけだが、それと同時に背後に殺気を感じたからだ。
表紙が歪むほどに分厚い資料に、指を挟んで素早く閉じる。
「ちえっ、バレたかぁー」
そこにいたのは、セミロングくらいの黒い髪を、高い位置できっちり一つにまとめている、顔立ちの整った女の子。
クラスメイトの進藤さんだった。
進藤さんは、「つまんないのー」と言って口をすぼめ、低くしていた姿勢を正す。
僕がそのまま気づかなかったら、体当たりでもしてくるつもりだったのだろうか。
ちょっと、惜しいことをしたかもしれない。