正直私は高校に入れるなら天辺だろうが底辺だろうがどこでもいい。
うちの母親は、家があまり裕福じゃなくて何かと大変だったらしい。
高校も途中でやめて、バイトしてテレビでやってるやつで資格とって、何年かしてから定時制入ってバイトと両立したらしい。最終的資格でなんとか就職できて、寛大な心とやらの私の父親と結婚し私を生んだ。父はお前の好きなようにというけど、母親は「なんでもいいから高校入れ。そしたらどうにでもなるわよ」と言う。

まあイマドキ大学新卒でも就職困難だの100年に一度のなんとかやらで数年前から青褪め状況だので、大変な世の中。景気回復だかなんだかしてんだかしてないんだかわかんないし、高校はどこでもいいから、私が入れるなら入り、卒業資格位は欲しいものだ。

「うわー…アンタ、人生舐めてんね」
「舐めてる?…そうかもね。ある意味でも知り尽くしているともいえない?」
「それは言いすぎ、…まあどうせアンタの人生であたしには関係ないけどさ」
「きっぱり言うね」
「誤魔化すのはよくない、しょ?」
「いえてる」

笑いながら鞄に手をかけ、私たちは教室を出て行く。
進路なんて私はとりあえず興味ない。
当分興味があるのは…ああ、何だろうね。

だるけに考えながら、私は帰り道新しい機種みたい、とごねてまなみをつれて携帯ショップに入り、新しい機種に目を付けて家に帰った。