とりあえず私は黙って話を聞く。
イマドキ有り得ないくらいダサい、長いスカートのセーラー服姿で私は新しい教室の自分の席で頬杖をついた。
「あそこ、元々いきたかったんだよね」
「でも、正直無理じゃない?」
「…はっきり言うねー、まあいいけど」
「だって嘘吐いて喜ばせるなんて、馬鹿にしてんじゃん」
「まあね」
うちの学校は上下関係が厳しい、というより、生意気だとイマドキありえず後輩だろうが先輩だろうが目を付けられる。
とくに入りたてで怖いもの知らずの1年生は生意気だし、3年生は受験はあるけど上からのしがらみがなくて自由だし、2年生は間バサミで下手な行動は取れない。
スカートを短くしたくてもできないし、頭茶髪なんかにしたら先生よか先輩からの仕打ちのが怖い。どんだけ昔の時代だよと吐き気がするけど我慢。
まなみも私と同じで膝より少し長いスカートの丈で、髪も黒くしつつ、ただヘアゴムはとびきり派手にしていて、そのヘアゴムがずれたのか指で弄って直しながら呟く。
「うちさー、N高校入って卒業したら、専門系行きたいんだよ」
「え、なんで?Nいったら大学普通に狙えるじゃん」
「Nで色々ポイント稼いで、専門で好きな事して、人生設計したんだよ」
「あ、そう」
よくわかんない。まなみの考える事は。
「まあ、とりあえず、2年なったばっかだし…頑張ればいけるんじゃない?」
「うん。だからあたしこれからちょー真面目になるわ」
「はは、がんばれ」
「沙織は?どこ行きたいのさ」
「私?…さあ」
高校はいれるなら、どこでもいいよ。
面倒くさそうに呟いた私に、まなみの間抜けな声が聞こえた。