「んあ、やばい…取り寄せしてたITSUMI先生のコミック取りに行かなきゃ」
人気で置いてなかったL*RのITSUMI先生。
永久子先生ほどではないけど、結構気に入ってる先生の人気作品、取り寄せしないと買えなかったんだよね。
「行かなきゃ」
鞄を手に取ると私は駆け足で書店へと向かった。
「え…?ITSUMI、先生?」
「はい、L*Rっていう本誌の…」
「…あー、ああああ!高山さんですね、はいはい、ありますよ」
店の置くへいって暫く。
一冊の本を差し出され、それを確認する。
「…はい、これです」
確認をすると私は財布を取り出し金額を支払う。
ちょっと高めのこれ。結構分厚くて、1000円ちょっと。ああ、出費激しいなぁ。
まあ、好きだからこうして購入するんだし…。
自分でしてることに文句は言えないんだけど。
「はい、有難う御座いました」
ウィィン、と音を響かせて私は出て行く。
この本はボリュームのある先生の特別読みきりのものだ。
読んだ品もあるけど、読んでないものもあるからとても欲しかった。
帰ったらすぐ読もうかな、それとも…。
鞄にコミックを仕舞いこんだ私は考えながら歩く。
―すると後ろから一つ声が聞こえた。
「―ちょっと、いいか」
「はい?」
ナンパ、なわけはない。
こんなだっさい制服きて大して可愛くもない中学生ナンパするアホはいないはずだ。
いるとすればもてない奴くらい。そう決めている。
なんか面倒なことかなー、だとしたら顔見てさっさとにげよっと。
足だけは速いし若さがある。ついでにここ大通りだから交番すぐ近く。
防犯ブザーも持ってるし大丈夫。
誰だろう、と私は振り返る。
まさかそこにいたのが彼だとは、思わなかった。