「あ…っと…。その…」

アタシが口ごもっていると彼女が言った。


「時々…街で彼を見かけてたのよ。
アタシと一緒にいたころよりももっと難しい顔して。
その度にアタシは罪悪感を抱いて…。
でも偶然、この間、食器を選んでいるあの人とアナタを見かけたことがあって…
そのときの彼がとても明るくて…
アタシ、すごく嬉しかった」


呆然としてアタシは彼女の言葉を聞く。


「だから、今なら、そう思ってここに来たの。
じゃ…さようなら」

そう言って彼女は帰っていった。