「…変わってないわね。
この部屋…」

その女性は部屋を見渡しながら先生に言う。



先生は何も言わない。

そっか。
先生と彼女、
結婚してここで一緒に暮らしてたんだ。


彼女の言葉でアタシはそう理解する。


だから…
キッチンにあんなに本格的なツールがあったんだ。

あれは全部あの人が使ってたものだったんだ。

変なところで納得する。



そして。

やっぱりあの部屋であの椅子に座って先生のピアノを聴いていたのは彼女だったんだ。