「アタシ…
別に映画が観たいんじゃなくて…」

アタシは小声で言い返す。



「じゃなんで借りたのよ?」



「あ。それは…」

そこまで言いかけたけど止めた。



アタシは彼女から目を逸らし言った。

「思い出させてくれてありがとう、
今から急いで帰って観る」



ぽかんとした顔をしている彼女を置いて
小走りでその場から離れた。