翌日、練習が終った後休んでいると、会長が話しかけてきた。



「どう?順調?」


「はい、なんとか…。」



会長は、結構熱血タイプで、青春って言葉が好きな感じの人。


今日もかなりハードな練習を終え、汗をふきふきあたしの隣に腰かけた。




「1年生だし、大変だと思うけど、俺はぜひとも美香ちゃんにやってもらいたかったんだ。美香ちゃんは、なんていうか、見る人を惹き付けるっていうのかな、すごく自然な演技で、はっと思わせる表情をたくさん見せてくれるんだ。俺はそんな美香ちゃんの演技に惚れて、今回の主役に推薦したんだ。」



「そんな…あたしそんなすごくないですよ。ただ演技が好きで、がむしゃらにやってるだけですから。」



「いや、他のみんなも美香ちゃんの演技に刺激されてどんどん上手くなってる。みんなの力を引き出してくれてるんだよ。だから、1年生の自分なんて…とか思わずに自信もって頑張ってもらいたいんだ。」



「…ありがとうございます。会長にそう言ってもらえるとすごく嬉しいです。出来る限り頑張りますね。」


「うん、ありがとう。じゃぁ、今日は気をつけて帰ってね。俺はまだやらなくちゃならないことがあるから。」



「はい、頑張ってください。」




会長と別れて一人になると、嬉しさが込み上げてきた。



会長があんな風に思っててくれたなんて。



なんとしても期待に応えなくちゃ。



そう決意していると、部屋の端の方からすすり泣きが聞こえてきた。