泉はつかつかと2人の方に近づいく。この顔の泉は、誰が何と言おうと聞かない時のものだ。


「こうならなかったら、ずっと泉達には黙ってるつもりだったの!?」

「おい、泉!」

「泉も透くんもどれだけ心配したと思ってんのさ!!!」


 案の定、透が制止しようとも泉は止まらなかった。


「言っとくけど、泉ココ辞めないからね! てか泉がスポンサーなんだから辞められても困るだろうけど!」

「泉……、」


「こんな事で泉や透くんは、2人を見捨てたりしないっ!!
てか一生付きまとってやる!」


 泉は怒っているにも関わらず、顔は何故か笑みを湛えている。透もニヤッっと笑った。


「そうだ。俺達も、もう片足以上突っ込んだ様なもんだ」

「盟を連れてかせなんてさせない!」


 界と盟は鳩が豆鉄砲を喰らった様なお互いの顔を見合う。
しかし、先に界が苦笑の表情になった。


「悪かった。本当に、色々な事。お前らがそう言ってくれてすげー助かる。
これからもこんな興信所だけど、よろしく頼む!」


「……界く~ん!!」


 久方ぶりの界の笑顔に脱力し、泉はヘナヘナと界に抱き付き、ポカポカと殴った。 透も嬉しそうにその様子を見ていた。が……。

 界がああ言った真意を知る盟だけは、悲しそうな、泣きそうな微笑を浮かべていた。

 しかしその時、興信所の外のビルの廊下に足音が響いたので、その様子は界にも知られる事は無かった。


 イオ達が戻って来たのだ。