「それでも……、まりは生きている!」



 界は微かな希望を自分に言い聞かせる様に呟いた。


「そう。生きてる」

「……」

「そこで俺の提案だけど。
メイがこれからずっと俺の側に居てくれるなら……、伯方 まりに会わせてあげる」


 盟は伏せていた顔を上げた。


「ふざけるな!却下だ。だったら俺が紅龍會に直接行く!」

「いいけど。場所知ってんの? 伯方 まりは今は紅龍會に居ないよ。
日本に来ているから」

「どういう事だよ!? まりは捕らわれているって……」

「そこまで俺が話す義理はないね」


 イオはそう言うと、ソファーにもたれた。界はまりの現状とイオの言いたい事がよく分からず、眉間にしわを寄せ、目を細めた。


「それに、伯方 まりの価値観はあの頃のままとは限らないよ?
14年間組織で過ごし、心まで組織の人間になって、彼女は変わってしまったかもしれないよ? 君が思い描く妹とは全く別人として。
それでも会いたいと思える? 向こうが望んでいないとしても?」