『HEMLOCK』はまだ未完成の薬なんだ。
伯方 栄太の研究で、確かに『HEM』は“麻薬”と“毒薬”2つの効果を持つ、恐ろしくも奇跡の様な薬になった。
その手の奴らはこぞって欲しがるだろうね。
動物実験の段階も成功していて、段階は“人体実験”に至った。そういう事しちゃうヤツらなんだよ。紅龍會って。
でもね、人体実験でいくら『HEM』を飲ませても死なない人間が現れたんだ。
それがメイのお母さん。
彼女は紅龍會総帥の妾で、『HEMLOCK』製造段階の“被験者”にされていた。
しかし、彼女は死ななかった。
『HEMLOCK』で殺せない人間が存在したんだ。
その原因が『X-イジョウム』って抗体。――名前は後から付けられたらしいんだけど。
研究の結果、その抗体を持つ者には『HEM』の毒は効かないって解って、研究員達は急遽『X-イジョウム』保持者に対する人体実験を進める事になったんだ。
『X-イジョウム』は染色体と関わりがあるらしくって、保持者は必ず女性だった。
もちろん、娘のメイも血液検査の結果で保持者と断定されたんだよ。